【大王製紙事件】大手企業創業者も溺れたカジノ

106億円という膨大な不正融資を受けて背任容疑で逮捕された大王製紙事件は、老舗大手製紙業者の孫が引き起こした事件として、社会に衝撃を与えました、奇しくもカジノの危険性を社会に知らしめた事件でもありました。

大王製紙事件とは

腕に手錠をかけられた人

大王製紙とは国内トップクラスの製紙メーカーで、どの家庭でも最低1コは置いてあるであろうティッシュボックスを主力製品として、一般家庭向けに製造販売している会社です。戦前から続く老舗であり、3つの子会社も含めて創業家一族の支配下にありました。まさか、その創業一家の3代目御曹司が多額の会社資金横領しかも、106億円という高額だったゆえにマスコミなどがこぞって書きたて、世間を騒がせる事件へと発展していきました。

通常、商品の製造主はよほどの事がない限り、表に出ないものですが、騒ぎが大きくなるのと同時に騒ぎの渦中にある前会長の井川意高氏の顔が連日ブラウン管の前に映しだされ、その姿を見ない日はないほどでした。結果的には、会社側から背任容疑で摘発される形で会長職辞任および役職解任となりました。そして、2011年に特別背任容疑で逮捕、4年の実刑判決を受けて服役します。

この時、明らかになった事は井川意高氏がギャンブル依存症であり、マカオのカジノにのめり込んでいた事です。事の発端はオーストラリアカジノで大当たりをした事でしたが、すっかりのぼせあがった勢いでカジノに夢中になっていきます。しかしながら、いつも大もうけできるとは限りません。徐々に関連会社からの借金を重ねるようになります。今度こそ、今度こそと思いながら、ゲームを続けているうちに借金総額がついに100億を超える事となってしまいました。

1回の掛け金の額も一般庶民では考えられないような高額で、数千万円という額になる時もありました。手元の持ち金がなくなると、クレジットカードで高級腕時計を購入して現金化するという、カードの不正利用までするほどになってしまいましたが、感覚が麻痺していますからもはや罪意識も薄れた状態であり、結果、ギャンブル依存症がたどる最悪のパターンを践んでしまったのです。

しかしながら、メディアの取材記事をそのまま受け入れるなら、資金流用の原因にはギャンブル好きというだけではなく、多くの企業が抱える縦社会のデメリットをも浮き彫りにしました。1年あまりの間に借金した総額のうち、およそ3分の2は返したものの、50億円が返済されていない状態です。その未返済50億円が問題となっているのですが、そもそも、なぜ、いとも簡単に子会社から借金できたかというと、取締役会での借用書はもちろん、審議をも完全に欠いた状態で自動融資されてしまう流れができあがっていたからです。

社内での経営者トップである井川父子の権威は絶対的でしたから、仮に不審な点が見え隠れしていても、直下にあるものは有無を言えないような気風ができあがっていました。もしも、ここで井川氏のギャンブル行きを止めてくれるような声が一言でもあがっていれば、ここまで問題が大きくならなかったはずです。仮釈放された次の日に、カジノ法案が可決された事をギャンブル地獄を体験した井川氏は冷ややかに眺めています。

事件の影響

札束とダイス

事の他、大きく報道されてしまった大王製紙事件は、井川氏の逮捕と実刑判決だけではすみませんでした。文字通りなし崩しに、大王製紙の創業一家の勢力が奪われていきました。井川氏の余罪が次々と明らかになり、追起訴が実施される一方、実弟も取締役解任が決定し、身近で井川氏を支えてきた役員らもそれぞれ会社から処分を受けました。文字通り一族中を丸ごと、巻き込む大問題に発展してしまったのです。

今回の事件が発端となって、あらためてカジノの社会へ与える影響について多くの人が目を向けるようになりました。さらに、ギャンブル依存の最も大きな原因とされるパチンコへの規制も必要ではないかとの指摘も出ています。ギャンブル依存症の患者らの実態も一部のメディアでクローズアップされるようになりましたから、今後、理解が深まっていく予感を持たせてくれます。

社会問題にまで発展し、井川氏の顔が全国版で世界に拡大されてしまった今は、うかつな事が出来なくなっている事もありますが、逮捕がきっかけでようやくカジノから開放された井川氏は、今後、二度とカジノに行かない決意を固めている事からもわかる通り、ギャンブル依存に一度でもはまってしまった人たちが依存から抜け出す事の難しさを明らかにしています。政府として反対意見の声にいかに応えていくか、ますます。カジノへの世間の目が厳しくなっていますから、政府としての姿勢も問われる事になります。

まとめ

大王製紙事件は一時連日、芸能ニュースでうるさいほどに報じられていましたから、未だに記憶に新しい人も多い事でしょう。井川氏がはまったマカオは世界トップクラスの収益を上げている人気カジノです。その勢いは本場ラスベガスカジノを軽く越えてしまうほどであり、世界中から時間とお金をもてあました富裕層の人たちが集まります。

マカオには入場規規制というものがほとんどなく、24時間営業です。入場料もなく、服装も自由です。日本でいうところの町のパチンコ店へ入っていくような手軽さで利用できてしまうのがマカオの魅力の1つです。今回の事件では、最終的にマカオに入り浸ったと井川氏の告白にあるように、一攫千金を狙うビジネスマンからの支持も大変厚かった事がわかります。この点からもカジノ法案の導入がスムーズに進んでいくために、入場規制の審議がさらに活発になっていく必要性を思わされます。

 


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